糖質制限は体重をすばやく減らしやすく、糖質さえ制限すればよいため取り組みやすいダイエットと言われています。特に、普段から主食を食べすぎてしまう方や、甘い間食が多い方は、糖質制限が効果を発揮しやすいでしょう。一方で、すべての糖質を断ってしまうなどの過剰な糖質制限は、かえって体重が落ちないだけでなく、健康状態を悪化させる可能性があります。
この記事では、糖質制限に危険があると言われる理由や正しい糖質制限のやり方を解説します。
目次
1. 極端・長期の糖質制限で起こるデメリットや危険性
糖質制限は適切に行えばダイエットにつながります。ただし、一切糖質を摂らない・何年も過剰な糖質制限を続けるなどの行為は危険で、場合によっては健康に害をもたらす恐れがあります。
極端・長期の糖質制限によるデメリット・危険性は、次の通りです。
1-1. 筋肉量が落ちて痩せにくくなる
過剰な糖質制限を行うと筋肉量低下を引き起こし、結果として痩せにくい体になるという落とし穴があります。
過剰な糖質制限をすると、必要以上にカロリーの摂取が制限され、血中の糖の量(血糖値)が減ります。血糖値が低くなると、体はほかの方法でエネルギーを確保しようとします。その際に起こるのが「筋肉の分解」です。
血糖値の低下により、体内では筋肉中の糖質(筋グリコーゲン)をエネルギーに変えるために筋肉が分解されます。筋肉が分解されて筋肉量が落ちると、落ちた筋肉の分だけ基礎代謝が低下し、結果的に痩せにくい体になります。
筋肉を維持するには、タンパク質の補給だけでなく、筋グリコーゲンを使わないために必要な糖を摂取しながら、運動習慣を取り入れるのが大切です。
1-2. 便秘になる
糖質制限中は、ダイエットに悪影響を及ぼす便秘になりやすくなります。糖質制限中に避ける食べ物としては、白米・パン・麺などの主食が挙げられますが、野菜類の中にも糖質が含まれています。
野菜には食物繊維が含まれているものが多く、野菜の糖質まで制限すると食物繊維が不足するため、注意が必要です。特に根菜類は糖質が多く含まれているものの、食物繊維の含有量も豊富です。糖質の多い野菜を制限するほど食物繊維の摂取量が減り、便秘になる恐れがあります。
主食類には水を加えて調理するものが多く、主食の摂取量を減らすと水分の摂取量が減る点も、便秘を引き起こす原因の1つです。くわえて、糖質制限中はタンパク質の摂取量が増え、腸内の悪玉菌増殖を引き起こすことで、腸内環境も悪化しやすくなります。
1-3. 集中力やスタミナの低下が起こる
糖の摂取量が極端に減ると、脳や体のエネルギーが不足し、集中力やスタミナの低下が起こる点も、極端な糖質制限によるデメリットの1つです。
体全体で使うエネルギーの20%は脳で使われると言われており、糖は脳にとって重要なエネルギー源です。糖が不足すると脳の活動が低下し、仕事や勉強などの活動に集中できなくなります。
また、糖の不足によって脳だけでなく体じゅうのエネルギーが不足し、スタミナが低下して疲れやすくなります。集中力やスタミナが低下して日常生活に支障をきたしている場合、糖質を必要以上に制限している可能性があるため、取り組み内容の見直しが必要です。
1-4. 代謝の低下により冷え性になる
糖質制限中は筋肉が減少や基礎代謝の低下が起こりやすく、冷え性を引き起こすケースも多く見られます。
摂取カロリーが減少すると、体は筋肉を分解してエネルギーを得ようとします。筋肉量とともに筋肉を維持するためのカロリー消費量が減少することが、基礎代謝量が落ちる原因です。
また、筋肉には体の熱を作り出す役割もあり、筋肉量が低下すると体の発熱量も減ります。くわえて、体のエネルギーが不足すると、体は生命維持に必要なエネルギーをできるだけため込もうと、体の熱を作り出す機能を弱めてエネルギー消費を抑えます。
冷え性が慢性化すると、免疫力の低下や肌荒れ、むくみといった体調不良を引き起こすケースもあり、特に美容を目的にダイエットを始めた方には不本意な結果になるでしょう。
1-5. 体臭や口臭が強くなる
いきすぎた糖質制限を行うと、体から熟したリンゴや柿のような甘酸っぱいにおいがし、体臭や口臭が強くなる場合があります。においの正体はアセトンで、糖質が不足して脂肪を分解したときに出るケトン体の1種です。
アセトン臭は糖尿病の患者さんにも見られる現象で、「ダイエット臭」「ケトン臭」とも言われています。アセトンはマニキュアやジェルネイルを落とす際にも使われる溶剤で揮発性があり、血液中から皮膚や肺を通じて放出され、体臭や口臭の原因になります。
アセトン臭の原因は皮膚そのものや口の中にないため、通常の体臭・口臭対策では改善が見込めません。アセトン臭を根本から改善するには、糖質制限を適切に行うことが大切です。
2. 正しい糖質制限のやり方
自己流の糖質制限は健康を損なう可能性があり、最悪の場合は死亡リスク上昇を招くなど大きな問題につながります。正しい糖質制限を行えば、体調を崩す危険を避けて、健康的に体重を減らせるでしょう。
ここでは、正しく糖質制限を行うコツを紹介します。
2-1. 医師や管理栄養士の指導を受ける
糖質制限を行う際はリスクを避けるために、自己判断で行うのではなく、医師や管理栄養士など専門的な知識を持つ人の指導を受けましょう。
糖質制限は、ただ糖質摂取量を抑えればよいわけではありません。糖質制限を含むダイエットは食事療法です。病院に肥満外来が設置されるほど専門性が高く、安全に行うにはたしかな知識に基づいて栄養管理などを行う必要があります。
また、太る原因は人それぞれです。糖質制限がブームになっているからといって、すべての人にとって効果があるとは限りません。人によっては、脂質制限などほかの方法が適している場合もあります。ダイエットの方法として糖質制限を選ぶかどうかも含めて、専門家に相談することをおすすめします。
2-2. 極端な糖質制限はしない
主食をまったく摂らない、糖質を含むあらゆる食べ物を制限するといった極端な糖質制限はやめましょう。素人判断で厳しい食事制限をかけることは危険です。また、糖質をカットする分、タンパク質や脂質でエネルギーを補う必要があるものの、体力を維持しながら極端な糖質制限を続けることは簡単ではありません。
量を適切に抑えられれば、糖質制限中でも主食を食べても構いません。反対に、炭水化物を控えすぎないように、糖質制限中も1日トータルで最低130gは炭水化物を摂取するように意識しましょう。
2-3. 食物繊維を多く摂取する
糖質制限中は糖質以外の栄養素も不足する可能性が高まります。特に不足しやすい食物繊維は積極的にメニューに取り入れ、できるだけ多く摂取することが大切です。食物繊維の多い食材としては、きのこ類や海藻類、豆類、根菜、こんにゃくなどが挙げられます。
また、糖質の摂取を抑えつつ食物繊維を多く摂るには、いつもの主食を別のものに置き換える方法がおすすめです。白米であれば玄米や五穀米に置き換えたり、麺類であれば低糖質麺などに置き換えたりすると食事内容を充実させられます。
食物繊維が豊富な食材を混ぜて、主食のかさを増やすと満足感も高まり効果的です。
2-4. 適度な運動と併せて継続する
糖質制限は、早ければ1~2週間程度で効果が出始めます。ただし、あわせて適度な運動をしていなければ、3か月までに体重の落ちが停滞しやすくなります。糖質制限を行う際は食事の制限だけでなく、いかに適度な運動を取り入れるかがポイントです。
糖質制限中は筋肉量が低下する傾向にあるなど、長期的に見ると体が痩せにくい状態になる可能性が高くなります。筋肉量や基礎代謝を保ち、糖質制限の効果を正しく発揮させるためには、軽い筋トレなどの運動習慣をつけるようにしましょう。
まとめ
糖質制限は体重をすばやく減らしやすい効果的なダイエット方法であるものの、医師や管理栄養士の指導なく過剰な制限を行うと、健康を害する可能性があります。かえって痩せにくくなったり、便秘・集中力の低下・冷え性・口臭などの原因になったりもするため、極端な糖質制限は避け、適度な運動と合わせて継続しましょう。
また、しっかりと食物繊維を摂るのも糖質制限では重要です。十分に主食を食べながら、糖質制限をしつつ、食物繊維をたっぷり摂りたい方には、ぷるんちゃん粒・ぷるんちゃん麺がおすすめです。こんにゃくの主成分グルコマンナンとこんにゃく粉を使用しているため、糖質・脂質が0gで低カロリー、和・洋・中いろいろな料理に使えます。白米とぷるんちゃん粒を混ぜて使ったり、麺類をぷるんちゃん麺に置き換えたりすれば、主食の量を減らさず糖質制限が可能です。