糖質は、炭水化物から食物繊維を除いた栄養素の総称です。糖質を摂取しすぎると、血糖値を下げるためのインスリンと呼ばれるホルモンが大量に分泌されます。
インスリンは糖分を脂肪に換えて体内に溜め込むはたらきがあるため、「糖質=太る」と言われるようになり「糖質制限」というダイエット方法も誕生しました。
しかし、単純に糖質を制限するだけでは良い結果につながりません。糖質制限中は、その他の重要な栄養素の一種であるタンパク質の摂取が不可欠です。
そこで今回は、糖質制限ダイエット中もタンパク質の摂取が大切な理由から、成人一日あたりのタンパク質の推奨摂取量、さらに糖質制限中におすすめの「肉・魚」を取り入れたレシピまで解説します。
目次
1. 糖質制限中もタンパク質の摂取が大切な理由
そもそも糖質制限とは、炭水化物に含まれる糖質の摂取量を制限することによって、適正体重を目指すというダイエット手法です。2012年頃に流行し始め、10年以上が経った現在では「体重・体脂肪を落とすためには糖質制限が当然」と考えられるほど定着しました。
糖質制限はその名称から「普段の食事から糖質を抜けば良い」と考える方もいるでしょう。しかし、糖質は人間に必要な三大栄養素の一種であるため、糖質を制限した分、その他の栄養素であるタンパク質や脂質をしっかり摂取しなければなりません。
糖質制限中にタンパク質の摂取が大切な理由は、筋肉量が落ちて代謝が低下するのを防ぐためです。
糖質を制限すると、筋肉中のアミノ酸を分解して不足した糖を生成する「糖新生」が起こる場合があります。糖新生によって筋肉が分解されると、基礎代謝が低下して痩せにくい身体となります。
糖質制限での減量と同時に体を引き締めたい・ある程度筋肉をつけたいという方の場合は、特にタンパク質の摂取が必須です。タンパク質をしっかり摂取しなければ「日々の運動や筋トレなどで活動量は多いはずなのに、筋肉がなかなかつかない」ということになりかねません。そのため、糖質制限中はタンパク質の摂取を心がけましょう。
糖質制限ダイエットで筋肉量が落ちると言われている理由や、筋肉量を落とさずに糖質制限する方法については、以下の記事で具体的に解説しています。気になる方は、併せてご覧ください。
2. 成人一日あたりのタンパク質の推奨摂取量
成人一日あたりのタンパク質の推奨摂取量は、下表の通りです。
性別 | 年齢 | タンパク質の推奨摂取量 |
男性 | 18~64歳 | 65g |
65歳以上 | 60g | |
女性 | 18~64歳 | 50g |
65歳以上 |
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)
推奨されるタンパク質の摂取量は、性別・年齢によってやや違いがあります。成人男性の場合、18~64歳は65g、65歳以上は60gが目安です。対して成人女性は、年齢問わず一日あたり50gの摂取が推奨されています。
なお、上記の摂取量を超えていれば良いというわけではありません。糖質制限中にタンパク質を摂りすぎると、体内でケトン体という物質が多くつくられ、糖尿病の高血糖症状であるケトアシドーシスという状態になるおそれがあります。
また、タンパク質を摂取しすぎると腸内の悪玉菌が増加することにも注意が必要です。腸内環境の悪化によって、便秘や肌荒れ、さらに免疫力の低下といった症状を引き起こすことがあります。
くわえて、タンパク質量を多く含む肉・魚は脂質も多く含まれるため、タンパク質の摂りすぎは脂質の過剰摂取にもつながります。カロリーの高い脂質は中性脂肪・コレステロールが上昇するおそれもあり、本末転倒です。
このように、タンパク質の過剰摂取にはさまざまなリスクがあります。糖質制限中にはタンパク質の摂取が重要ですが、必要以上に摂取してしまわないようしっかりと摂取量を調整しておきましょう。
2-1. 人によって理想的な一日あたりの食事回数には違いがある
日本では、朝食・昼食・夕食の「一日3食」という食事習慣が一般的です。
しかし、消化力は人それぞれ異なるため、必ずしもこの習慣で食事をしなければならないとは一概に言えません。人によっては、お腹が空いていないものの無理して食べた朝食が原因で消化不良を引き起こしてしまった、という経験がある方もいるでしょう。
このように、人間にはそれぞれ理想的な「一日あたりの食事回数」があります。一日3食という基本的な食事習慣にとらわれず、お腹の空き具合に合わせて食事を摂るのもよいでしょう。それが自分にとって理想的な食事回数であれば、一日2食や5食でも問題はありません。
しかし、必要な栄養素の過不足には注意が必要です。特に、一日あたりの食事回数が少ない場合は、一度の食事で多くの栄養素が摂れるようレシピにも工夫しなければなりません。
3. タンパク質が多く含まれる食品は?
タンパク質が豊富に含まれる食品としては、肉類・魚介類・卵類・大豆製品・乳製品が挙げられます。各分類の具体的な食品やそれぞれのタンパク質含有量は、以下の通りです。
分類 | 食品 | タンパク質含有量(100gあたり) |
肉類 | 鶏ささみ(若どり・生) | 23.9g |
和牛肉(もも・赤肉・生) | 21.3g | |
ウインナー | 11.5g | |
魚介類 | いわし丸干し(うるめいわし) | 45.0g |
するめ(加工品) | 69.2g | |
魚肉ソーセージ | 11.5g | |
卵類 | 卵黄/卵白(生) | 16.5g/10.1g |
ゆで卵(鶏卵) | 12.5g | |
生卵(鶏卵) | 12.2g | |
大豆製品 | きな粉(全粒) | 36.7g |
油揚げ | 11.2g | |
豆腐(木綿) | 7.0g | |
乳製品 | パルメザンチーズ | 44.0g |
ヨーグルト(低脂肪無糖) | 3.7g | |
牛乳 | 3.3g |
(出典:文部科学省「食品成分データベース」/https://fooddb.mext.go.jp/)
部位や種類によってもタンパク質含有量の水準は細かに異なるものの、肉類・魚介類の食品は総じてタンパク質が豊富です。しかし、牛肉や豚肉のレバーは糖質量が多いため、糖質制限中は控えるようにしましょう。
また、バラをはじめとした脂身が多い肉は糖質控えめである一方で、脂質量が多くなります。糖質にくわえて脂質もある程度制限したい場合は、脂がのった肉ではなく赤身肉を意識して食べるのがおすすめです。
大豆製品のきな粉や乳製品のパルメザンチーズは、タンパク質含有量が多いものの、一日で100g以上摂取することはほとんどありません。そのため、食事にタンパク質を少し増やしたい場合に取り入れることを推奨します。
3-1. 糖質制限中の食事に肉・魚を取り入れる際の注意点
肉・魚は、タンパク質が豊富に含まれるという魅力があり、糖質制限中の食事メニューとしてよく取り入れられる食材です。しかし、糖質制限中の食事に肉・魚を取り入れる際は、偏った食事にならないよう栄養バランス(PFCバランス)に注意する必要があります。
肉・魚は主菜のほか副菜としても活躍できる便利な食材ですが、主な栄養素はタンパク質や脂質であり、食物繊維などその他人間の体づくりに必要な栄養素がほとんど含まれていません。
肉・魚のみの偏った食事をしていると、栄養不足・低エネルギー状態になるおそれがあります。そのため、野菜類やきのこ類、さらに海藻類の食品も取り入れながら、食物繊維も適切に摂取しましょう。
また、肉・魚でも加工食品であれば糖質が多く含まれる可能性があります。メニューに加工食品を取り入れる場合は、ラベルに記載された栄養成分表示を都度確認しましょう。
4. 糖質制限中におすすめの肉・魚を使ったレシピ
最後に、糖質制限中におすすめの肉・魚を使った簡単なレシピを紹介します。
「糖質制限食として肉・魚を使ったレシピを考えたいものの、なかなか良いアイデアが見つからない」
「料理初心者のため、難しい糖質制限レシピに対応できない」
上記のような悩みをもつ方は、ぜひ参考にしてください。
しっとりおいしい鶏肉のカレーピカタ | |
材料(1人分) | 鶏むね肉:70g、ピーマン:20g、たまねぎ:20g、塩:少々、こしょう:少々 ★工程【1】で使用する材料の分量溶き卵:1/3個分(17g)、薄力粉:小さじ2/3、カレー粉:小さじ1塩:少々(0.5g) |
調理工程 | 【1】溶き卵、薄力粉、カレー粉、塩を混ぜ合わせる 【2】種を取ったピーマンとタマネギを細切りにして、塩・胡椒と和える 【3】鶏むね肉を1口大で薄めのそぎ切りにして、【1】と混ぜる 【4】アルミホイルを敷いたオーブントースターに【2】と【3】を乗せて、6分間加熱する。鶏肉に火が通ったら完成 |
調理時間 | 約10分 |
栄養素の含有量 | エネルギー:約148kcal 糖質:約5.5g タンパク質:約18.1g 脂質:約6g |
バンバンジー風蒸し鶏のサラダ | |
材料(1人分) | 鶏ささ身:1/2本(30g)もやし:30g、豆苗:10g ★工程【3】で使用する材料の分量 青じそ:1枚、ポン酢しょうゆ:小さじ1、すりごま(白):小さじ1/2、ごま油:小さじ1/4 |
調理工程 | 【1】フォークで数か所穴を空けた鶏ささみを耐熱皿に乗せて、ラップをふんわりかけて電子レンジ(600W)で1分30秒加熱後、冷めてからほぐして筋を取る 【2】根を取った豆苗を半分にカットし、もやしと一緒に耐熱容器に入れて、ラップをふんわりかけて電子レンジ(600W)で加熱後、冷ます 【3】【1】と【2】を合わせてちぎった青じそを乗せ、ポン酢しょうゆ、すりごま白、ごま油を混ぜ合わせたものをかけて完成 |
調理時間 | 約4分 |
栄養素の含有量 | エネルギー:約59kcal 糖質:約1.2g タンパク質:約8.7g 脂質:約1.9g |
海鮮と夏野菜のヘルシーサラダ | |
材料(1人分) | タコ:15g、ミニエビ:10g、ベビーホタテ:15g、わかめ:15g、板のり:5g、きゅうり:50g、おくら:2本、お好みの野菜(レタス、キャベツ、サラダ菜など):適量 ★工程【2】で使用する材料の分量 しょうゆ:大さじ1、酢:大さじ1/2、ねりごま・すりごま:各大さじ1/2、ごま油:小さじ1/2、すりおろし生姜:小さじ1/2 |
調理工程 | 【1】タコやホタテ、ミニエビ、わかめなどの海鮮やオクラ、きゅうりなどお好みの夏野菜(適量)をすべて一口大にカットする 【2】容器に醤油、酢、ねりごま・すりごま、ごま油、すりおろし生姜を入れて混ぜる 【3】サラダボウルに【1】の材料を盛った後、【2】の材料をかける 【4】お好みで板のりなどを飾り盛りし、混ぜ合わせて完成 |
調理時間 | 約5~7分 |
栄養素の含有量 | エネルギー:約165kcal 糖質:約4g タンパク質:約12g 脂質:約10g |
まとめ
糖質制限は、炭水化物に含まれる糖質の摂取量を制限するというダイエット法です。しかし、単純に普段の食事から糖質を抜けば良いというわけではなく、制限した分その他の栄養素であるタンパク質も摂取しなければなりません。
糖質制限中にタンパク質を欠かさず摂取することで、筋肉量や代謝の低下を防げます。また、多くの日本人が好む肉・魚にはタンパク質が豊富に含まれているため、糖質制限中でも食事を楽しめるでしょう。
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