炭水化物・糖分の摂取量を減らして、健康維持・ダイエットを目指す「糖質制限」には、さまざまなメリットがあります。しかし、メリットがある一方で、いくつかのデメリットもあるので、注意しなければなりません。
この記事では、糖質制限を実践してみたいと思っている方に向けて、理解しておくべき糖質制限のメリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。さらに、糖質制限を実践する際に意識しておきたい、カロリーやタンパク質・炭水化物・食物繊維の摂取基準についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 糖質制限のメリット
糖質制限とは、お米や芋などを控え、摂取する糖質の量を減らすことで体重を落とすダイエット・健康法です。糖質制限にはさまざまなメリットがあり、数あるダイエット方法の中でも人気があります。まずは、具体的なメリットについて見ていきましょう。
1-1. 体重を落としやすい
糖質制限の大きなメリットとして「体重が落ちやすい」「結果が分かりやすい」ことの2点が挙げられます。
食べ物から摂取した糖質は、筋肉や肝臓にグリコーゲンの形で蓄えられ、運動時などにエネルギー源として利用されます。糖質制限は糖質の摂取量を減らすことで、グリコーゲンの貯蔵分を消費させ、体重を落とすダイエット方法です。グリコーゲンとして貯蔵される際に結びついた水分もなくなるため、体重の落ち幅が大きくなります。
一般的に糖質制限開始後の1〜2週間は、特に糖質と結合した水分が減りやすく、体重が減少しやすい時期です。短期間で数値になって現れるためダイエット効果を実感しやすく、モチベーションアップにつながります。
1-2. 見た目の変化が現れやすい
グリコーゲンは、貯蔵される際に1gあたり3gの水分と結びつく性質があります。諸説ありますが、一般に成人は肝臓に90〜150g、筋肉に100〜400gのグリコーゲンを蓄えられるとされます。400gのグリコーゲンが貯蔵されている場合、結合した水分の量はおよそ1,200gです。
(出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「砂糖類情報」/https://sugar.alic.go.jp/japan/view/jv_0106b.htm)
貯蔵したグリコーゲンが糖質制限によってどんどん消費されるようになれば、同時に多量の水分も減少します。体内の水分が大きく減るため、全体的なむくみが緩和されてすっきりして見えるようになります。見た目の変化が分かりやすいことは、糖質制限ダイエットの特徴でありメリットです。
1-3. 空腹感を覚えにくい
カロリーを減らすことで体重を落とすダイエットでは、食事の量を減らすため満足感が少なく、空腹状態が続くことも多くなります。好きなものが食べられず、イライラするという方もいるでしょう。
一方、糖質制限ダイエットでは、主食や芋類などの糖質さえ控えれば、比較的食事の内容は自由です。たとえば、糖質をあまり含まない肉類や卵などは、多少は多めに食べてもあまり問題はありません。そのため、空腹を覚えにくいというメリットがあります。ただし、摂りすぎには注意しましょう。
1-4. 面倒なカロリー計算がいらない
カロリー制限ダイエットでは、食事ごとにカロリー計算が必要です。食事のたびに食材の種類と重さからカロリーを算出するのは非常に手間がかかるため、途中で断念するケースも少なくありません。
一方、糖質制限ダイエットは基本的に糖質摂取を控えるだけでよく、厳密なカロリー計算は不要です。とはいえ、糖質を多く含む食材についてはよく知っておく必要があります。たとえば、野菜のすべてが低糖質というわけではなく、さつまいもやかぼちゃなどはたくさんの糖質を含みます。
また、糖質の少ない食材であっても、調理の過程で砂糖をたくさん使ってしまうと意味がありません。失敗を避けるためにも、食材に含まれるおよその糖質量については意識する必要があります。
ただ、主な食材の糖質量を把握しておく必要がありますが、複雑なカロリー計算に比べると、さほど面倒ではないでしょう。
2. 糖質制限のデメリット
糖質制限にはさまざまなメリットがある一方で、いくつかデメリットもあります。実践にあたっては、利点だけでなく、どのような注意点があるかもよく認識しておくことが大切です。ここでは、具体的なデメリットを4つ紹介します。
2-1. 体調を崩すことがある
極端な糖質制限が原因で低血糖状態を招き、頭痛やめまい、倦怠感などを引き起こすことがあります。特に糖質の制限を開始して2週間ほどは低血糖になりやすいため、注意が必要です。まったく摂取しないなど、極端に糖質を制限することはよくありません。夕食だけ糖質を控えるといった緩やかな糖質コントロールをするとよいでしょう。
また、便秘になる可能性もあります。糖質制限のために炭水化物の摂取を控えると、炭水化物に含まれる食物繊維の摂取量も同時に減少するためです。
食物繊維は腸内環境を整え、便の体積を増やして排便を促す働きがあります。低糖質で食物繊維が豊富なきのこ類や野菜を食べるようにするなど、意識して食物繊維を摂取しましょう。
2-2. リバウンドすることがある
糖質制限ダイエットでは、痩せたからといって糖質の制限を解除すると体重がもとに戻りやすい傾向にあります。一般的な量の糖質を摂取したとしても、ダイエット中に比べれば相対的に糖質摂取量が多くなっているためです。筋肉や肝臓に糖質と結合した水分が溜めこまれ、結果的に少し体重が増えることがあります。
また、糖質摂取量を0gに抑えるなど極端な制限をしていた場合、反動でダイエット終了後に過食し、カロリーを過剰摂取してリバウンドしてしまうことがあります。反動が起きないようにするためには、厳しすぎる制限をやめ、たまには好きなものを食べられる日を設けるとよいでしょう。
2-3. 筋肉を減らすことがある
糖質をほとんど摂らないと、筋肉量が減ってしまうことがあります。糖質が不足した身体が、筋肉中のアミノ酸などの成分を分解してブドウ糖をつくりだす「糖新生」が起こるためです。
いくら体重が落ちても、筋肉の減少によるものであれば好ましいことではありません。筋肉には、身体を支え、熱をつくりだす大事な働きがあります。筋肉量が落ちてつくれる熱量が減ると、体温がうまく維持できなくなるため、身体は熱を逃さないように脂肪で補おうとします。脂肪がついてしまうと、ダイエットの意味がないでしょう。
糖質制限中は、筋肉量低下のリスクを下げるため、筋肉をつくる大事な栄養素であるタンパク質を積極的に摂ることがおすすめです。同時に、筋肉トレーニングにも取り組むとよいでしょう。
2-4. 痩せにくい身体になってしまうことがある
前述したように、糖新生が起こると筋肉量が減ります。すると、基礎代謝量が下がるため、痩せづらくなることがあります。基礎代謝とは、生きるために消費するエネルギーのことです。糖新生によって筋肉量が落ちると、基礎代謝も下がって消費エネルギーが減り、結果として痩せにくくなります。
痩せにくい身体をつくらないためには、やはり筋肉を落とさないことが大切なポイントです。良質なタンパク質を摂り、筋肉トレーニングや運動を日常生活に取り入れましょう。
3. 糖質制限の際に意識したい「日本人の食事摂取基準」
デメリットを避け、健康的に糖質制限を行うためには、日本人が守るべきカロリーや栄養素の摂取基準について理解しておくことが大切です。厚生労働省が5年ごとに改定して発表している「食事摂取基準」を参考にするとよいでしょう。ここでは、一部を紹介します。
なお、食事摂取基準では以下の区分で身体活動レベルを分けて、それぞれのレベルごとに推定エネルギー必要量を設定しています。
・身体活動レベルⅠ:生活の大半を座って過ごし、静的な活動が中心の方・身体活動レベルⅡ:座ることが多いが、移動や立ち仕事、接客、通勤、買い物、家事、軽いスポーツなどもする方・身体活動レベルⅢ:移動や立ち仕事が多い生活や活発な運動習慣がある方 |
推定エネルギー必要量(kcal) | ||||||
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
18~29(歳) | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
30~49(歳) | 2,300 | 2,700 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
50~64(歳) | 2,200 | 2,600 | 2,950 | 1,650 | 1,950 | 2,250 |
タンパク質推奨量(g) | 炭水化物目標量(%エネルギー) | 食物繊維目安量(g) | ||||
性別 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
18~29(歳) | 65 | 50 | 50~65 | 50~65 | 21以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 65 | 50 | 50~65 | 50~65 | 21以上 | 18以上 |
50~64(歳) | 65 | 50 | 50~65 | 50~65 | 21以上 | 18以上 |
(引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf 引用日2023/11/14)
糖質制限中は、何を食べればよいか迷うものです。そのようなときは、食物繊維を食べやすく加工してできた、糖質・脂質0gの「ぷるんちゃん」が手軽でおすすめです。
普段食べているお米や麺の代わりになる「ぷるんちゃんプレーンタイプ」の他にも、美味しく味付けされた「ぷるんちゃんおかゆ」「ぷるんちゃん味付麺」などもあります。糖質制限時に美味しいものを我慢したくない方には、これらのアイテムを活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
糖質の摂取量を減らす糖質制限には「体重を落としやすい」「見た目の変化が現れやすい」「空腹感を覚えにくい」「面倒なカロリー計算がいらない」といったメリットがあります。手軽にダイエットを進めたいと考えている方に、人気のあるダイエット方法です。
しかし、メリットだけではなく、正しいやり方で進めなければ「体調を崩すことがある」などのデメリットがあります。必要不可欠な栄養素をしっかりと摂取できるように配慮しながら、糖質制限を進めていきましょう。